授戒会編 第2回
円頓戒の歴史と思想
円頓戒の歴史と思想
円頓戒の歴史、円頓戒の思想、浄土宗の円頓戒
本講座は、浄土宗における円頓戒の歴史や思想を理解し、法話や法儀といった現場での活用方法を習得するとともに、全講座を受講することで、授戒会の開筵を目指すために必要な知識や実践について学ぶことを目的に開設する講座です。
全6回の教義、布教、法儀の講義及び実習を効果的にプログラム編成することで、全講義を通じて総合的な戒の理解と戒を説くための実践について学びます(※各回、申し込みが必要です。部分受講が可能です)。
講師
齊藤隆信(新潟教区榮凉寺 住職)
佛教大学特別任用教員(教授)
講義概要
【講義①】円頓戒の歴史
天台智顗(538-597)はそれ以前の戒を整理して新たな戒を組織しました。それが円頓戒です。第六祖の湛然の時には統一的な授戒作法が整備され、その直後に入唐した最澄によって日本天台にも導入されます。以後、天台宗とその影響を受けた諸宗にも伝えられています。浄土宗では宗祖が黒谷流円頓戒を相承し、七祖聖冏が円頓戒を恒常的・画一的な伝法として確立したことで現在に至るまで相伝されています。本講義では円頓戒の歴史を概観します。
【講義②】円頓戒の思想
円頓戒とはどのような戒法なのか、かつて学んだはずの円頓戒の思想内容の特色について復習します。まずは所依の経典である『妙法蓮華経』『菩薩瓔珞本業経』『梵網経』がどうして選ばれたのか、またそれらがどのように組織されているのかを理解します。その上で個々の戒である法華の菩薩の精神、三聚浄戒、梵網戒の概要を把握します。本講義のねらいは、「円頓戒とは何か?」について受講者一人ひとりが的確に説明できるようになることです。
【講義③】浄土宗の円頓戒
円頓戒の根本的な思想については、これを相伝している宗派間に相違は認められませんが、それぞれの宗学が展開する中、それとの関わりによって各宗派独自の解釈がされてきます。そこで、浄土宗では円頓戒をどのように理解できるのかについて、宗祖法然や七祖聖冏の考えを中心に概観します。さらに近世浄土宗における円頓戒の盛衰から発せられた提言や、浄土宗21世紀劈頭宣言と円頓戒の関わり、また円頓戒の将来的な展望についても言及します。